.作品紹介夏休み。祖父母の家への旅に出る。
.タグ夏休み すいか 短編家 小学生 中学生
.タイトル秦皮《トネリコ》
.人物佐藤倫明《さとうみちあき》小学校五年。十歳。かなり頭がいい。素直。一人っ子。理知的な顔とかわいい笑顔。
佐藤優《さとうすぐる》中学校一年生。十二歳。倫明の従兄弟。一人っ子。大阪市内に住んでる。
秦皮《とねりこ》年齢不詳。見た目は美青年風。透き通るほどの白い肌と濃い緑色の頭髪、漆黒の瞳。人間の形をしているけれど、人間らしさを感じない。森の守人と言う。森の力を使う。
.覚書
宿題。倫明はすでに九割方終わらせている。自由研究だけを残すのみ。優はまだ手を着けていない。小学生が中学生の宿題を手伝う。
スイカ食べる。種を食べるとお腹にスイカができる?川に入って泳ぐ。近所の子たちとも知り合いになる。
カブト虫を採りに森へ行くと、知らない男の子。秦皮と名乗る青年。近所に住んでるの? と訊くと、ここに棲んでいるという。やたらと森に詳しい。カブト虫がいるところも案内してもらう。ふと気づくといなくなり、呼びかけると、木の上に。秦皮に呼ばれ、優は難もなくスイスイと登るが、倫明はなかなか登れない。秦皮が手を伸ばすと、倫明の体が浮き上がり、木の上まで引き上げてくれる。この不思議な力に驚きながらも、スゴーイと素直に驚く二人。秦皮に超能力? と訊いても、それ何? と訊いてくる。これは森の力だよと言う。僕はどこの森にでも居るよ。君たちの森には居ないの? と訊かれる。僕の街には森はない。優の街は更に都会なので、こんな所はないと言う。木々を生かす力の弱いところにはいないのだ。森がないところがあってもいいよね。
この不思議な体験を家に帰り、祖父母に話す二人。守人さんか、とさして驚くことなく話す祖父母。この辺の森には昔から住んでる守人さんがいるということ。ここに限らず、森がいるところにはいるのだということ。
それを聞いた倫明は明日も秦皮のところに行こうと優に提案する。優は提案に乗り気ではない。地元の子たちと遊ぼうぜ、そっちの方が面白いと言う。フィトンチッド。
秦皮に他の守人は居ないのか? と訊くと、他のトネリコはもう高齢なので、あまり好奇心旺盛ではないのでそんなに姿を現すことはない。トネリコはまだ若く三百歳くらい。
木を見て森を見ず。はその通りで、森は森として木は作用している。僕たちも木に依っているわけではなく、森に依っている。間伐も人間がいてくれるおかげで森が保てている。人間も自然の一部。風を呼んで、森に風を通し、森林を成長させるのが、私たちの仕事だと秦皮は言う。人間は人間中心に考えていいんだ。所詮人間に植物の気持ちはわからない。
トネリコの話を聞いて、それを自由研究にしようと決める倫明。森を探検し、色々な発見をメモしてまとめていく。
夏休み明け、久々に学校へ行く。宿題を提出。自由研究の内容に疑問が入る。
また、冬休みに来ても会えるかな。